世界初の上方文化評論家に驚く
22日、上方文化評論家 福井栄一さんの講演会「怖くて楽しい『もののけ』ばなしに行って来ました。
日本の文学や芸能には幽霊や妖怪、生き霊や鬼といったさまざまな「もののけ」が登場します。科学文明万能の社会に生きるわれわれの深層に眠る闇の系譜を、その抜群の蘊蓄と独特の福井節で語り尽くすという催しで、暑い夏にぴったりの納涼企画でした。
さて、上方ってなに? とおっしゃる向きもあるかもしれません。「じょうほう」ではなく「かみがた」と読み江戸時代に畿内を呼んだ名称です。関東地方の方は覚えておいてくださいね!
世界初の上方文化評論家である福井さんとはいかなる方なのか? 21日の朝日新聞「be on Saturday」に紹介記事が出ていたので、そのまま転記します。
上方文化評論家の福井栄一さん(40)は、8年前まで大手銀行に勤務していた。小さい頃から無類の本好き。大学卒業時には研究者になる道も頭に浮かんだが、経済的なことも考えて銀行を選んだ。当初は順調に業務をこなした。また、母校である京大大学院法学研究科に、勉強のため派遣されたこともあった。
ところが、その後東京勤務で体調を崩した。海外との折衝が多く、毎朝早くから終電がなくなるまで働いた。上司との折り合いもよくなかった。次第に睡眠不足で疲弊。勤務中に意識を失って倒れ、半月ほど休職。大阪に転勤となった。
その後、たまたま日本舞踊のひとつである上方舞に出会った。見に行った舞台で「扇ひとつですべてを表現する」吉村雄輝夫師の芸に触れ、なぜか涙が止まらなくなった。演者は、きっと舞いが三度の飯より好きなのだろう。「それに引き換え自分は……。私は自分の、内なる声を聴いてきただろうか。いや、むしろ耳を閉ざしていたのではないか」と思い、その夜に辞表を書いた。
いきなり辞めたので仕事も何もない。敬愛する吉村師にアドバイスを受けながら上方文化の研究を始めた。以来8年で8冊の本を刊行。週に1、2回は講演する機会もある。伝統芸能だけでなく、陰陽道や上方言葉、地域問題など話題も多い。話が面白くなければ、お客は席を立つ。すべてが自分の責任だから、生きている実感があるという。収入は行員時代とは比較にならないが、やりがいは逆である。孤軍奮闘だが迷いもない。
組織で働く人々の悩みや惑いの中には、その人の本来の可能性が宿っていることがあるのだ。
さて実際の福井さんはと言うと「はんなり」「まったり」「じんわり」の上方マインドに身をつつみつつ、そこへ毒舌が加わりながらも、温かい気配りを決して忘れないという気質の持ち主であります。さあ、著作を読んでみんなも勉強しましょう!
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